Technology

基本技術

世界トップシェアを支えるテイボーの根幹
「多孔質体における毛細管力コントロール技術」

《多孔質体とは?》

多孔質体は、内部に細かい空間を持った構造をしています。
テイボーには、繊維芯・プラスチック芯・フェルト芯・焼結芯・ゴム芯と多種の多孔質体があります。

図は、主力である繊維芯を縦割りにした写真です。
繊維芯は、繊維に方向性があり、液体をスムーズに通すことが特徴です。

《毛細管力とは?》

細かい空間を、重力や上下左右に関係なく液体が浸透していく現象を毛細管現象といい、毛細管現象が生じる力を毛細管力といいます。
身近な具体例では、植物が根から水を吸い上げる現象や、タオルの端を濡らすと上の方まで吸い上がっていく現象など私たちの身近なところにある現象です。


 

次に、毛細管力の強弱について説明します。
この図は、水の入った容器に太さの異なるガラス管を立ててあります。
ガラス管内表面に対する液体の付着力と液体の表面張力が、液体の重力と釣り合うところまで上昇するので細いガラス管は、より高くまで水が上昇します。

つまり内部の隙間が狭ければ狭いほど、毛細管力が強いことになります。

テイボー製品の毛細管力コントロールも、この隙間をコントロールする技術から成り立っています。

下は、実際に毛細管力の強さ(液面の上昇する高さ)を求める計算式です。


=液面の上昇する高さ

θ:接触角
T:表面張力
r :管の半径
y:液体の比重

毛細管力のコントロールについて

毛細管力は、ペンにおいて重要な役割を果たしています。
テイボーの最先端の毛細管力コントロール技術は、お客様のご要望を実現しています。

毛細管力のコントロールで可能になること         

毛細管力のコントロールがペン先の中で果たす役割について、代表例をご紹介します。

1.インク吐き出しの調整

初期のインク吐き出しを多くしたい場合は、黒い線のフローカーブとなる毛細管力設計にします。
筆記距離を優先したい場合は、白い線のフローカーブとなる毛細管力設計にします。
その他、中間のグレーの線のフローカーブ等、テイボーは様々なご要望にお答えする様、毛管細力を設計します。

2.インク吸い上げの調整

インク上昇を速くしたい、上昇する距離を伸ばしたい要求に対して、インクの粘度・表面張力などから最適な毛細管力を設計します。

3.キャップオフ性の向上
キャップオフ性を向上させたい場合は、インクを揮発させない・インクが揮発してもすぐにインクの吐き出しが復帰する毛細管力の設計にします。
キャップオフ性とは?

→キャップを開けて放置すると、インク成分中の溶剤が揮発するため、そのまま放置するとカスレにつながる現象

4.ドレインバック性の向上
ドレインバック性を向上させたい場合は、毛細管力を強くします。
ドレインバック性とは?

→ペンを上向きに立てて放置すると、中綿と先芯に含まれるインクが重力で下がり、カスレたりインクの色が薄くなったりする現象

毛細管力の具体的なコントロール方法について、テイボーで最も取扱いが多い「繊維芯」と「プラスチック芯」でご説明します。

《繊維芯の毛細管力コントロール方法》

繊維の太さ、繊維の本数でコントロールしています。

毛細管力 弱い 強い
横断面
拡大写真

横断面拡大写真「弱い」の画像 横断面拡大写真「強い」の画像
繊維の太さ 太い
繊維間の隙間が広い
細い
繊維間の隙間が狭い
繊維の量 少ない
繊維間の隙間が広い
多い
繊維間の隙間が狭い

《プラスチック芯の毛細管力コントロール方法》

芯の内部にある気孔の設計でコントロールしています。

毛細管力 弱い 強い
気孔 パターン図「強い」の画像

気孔全体の毛細管力の強さに関わらず、1つの気孔内で、狭い隙間・広い隙間をあわせ持つ設計になっています。
それぞれの隙間はペン先の性能において、重要な役割を果たしています。

  1. 狭い隙間(強毛細管域)⇒インクを運ぶ、保持する
  2. 広い隙間(弱毛細管域)⇒インクを吐き出す

筆感のコントロールについて

ペン先の筆感は、ペンの書き心地に直結します。
油性ペンは摩耗しにくく硬い筆感、筆ペンでは線幅が変化しやすいよう弾力のある筆感、などペンの用途やお客様のご要望によって、
求められる筆感が異なります。

テイボーは豊富な原材料と、それを最適に組合せる設計力を持ち合わせていますので、お客様の多種多様なご要望にお答えできます。